| <スタン編> なあ、覚えてるかい? もうあの二つの騒乱から数年がすぎたんだよ。 オレは未だにあのときイレーヌさんと約束した「理想」が 少しでも現実に近づいているかと聞かれるとそうではない。 世界の状況は表向きには良くなっているように見えるが、 悪くなっているところも多々ある。 『オレが助けた世界を変えることはできないのだろうか?』 あのとき、皆と別れた時そう思った。 神の眼の騒乱の後、ウッドロウさんならきっとできると。 彼は、まだ新王だから、これからどうなるかで決まる。 オレは、神の眼の騒乱のとき、世界の状況も知らない人間だった。 フィッツガルドのノイシュタットで何が起きているのかも知らなかった。 広がる『貧富の差』、『みなしごを奴隷とする』 そんなこと、知らなかった。 俺の住んでいるリーネの村でそんな話は聞かなかった。 じっちゃんが少し話をしていたかもしれないが、覚えていなかった。 ただ、ソーディアン・ディムロスを持って戦っていた熱血人間だった。 ディムロスと合わなければ、あんなコトに巻き込まれなかったとかも、 考えてしまうほどだった。 自分のたった一つの夢であった「セインガルド城の兵士になること」 それが、ここまでの大事になるなんて、考えてもみなかった。 思えば、このときに、家族を心配させて悲しませたオレが決めた理想 『家族を幸せにすること』 それができていないことに気が付いた。 目先のことにとらわれ、一番近くにいた存在を悲しませて……。 オレは、ろくな人間ではない。 さらに、『神の眼』というものの奪還という、大きな任務を背負っているにもかかわらず、すべてが誘惑に感じていた。 ときには、リオンにバカにされた。 リオンには「考えずに飛び出す」とか「任務を忘れているのか」 とか言われ続けてきたから。 そして『神の眼の争乱』後 正確に言えば、『ヒューゴの乱』のとき、リオンが人生を終えた……。 リオンは自分が犠牲になる代わりに俺たちのコトを助けた。 あのとき、もしオレがそれをしていたらリオンは大切な人を失わずに生き続けていられただろうか。 この世にリオンは生きていたのだろうか。 オレは、アレがリオンの俺たちへの今までの「償い」だったのだと思った。 『リオン、お前が犠牲にならなくても良かったんだぞ。 アレならオレが代わりにできたのだからな。 ありがとう。 本当に ありがとう』 オレがリオンに言えるのはこれだけだった。 だけどもうアイツはどこにも生きてない。 俺たちが最後にアイツの姿を見たんだ。 もし、お前がここに生きてたら オレはどうしてたかな。 お前はどう生きてたかな、リオン。 |